東井義雄記念館より、「いのちの教え」という本の中から転載をお許し頂きました。
東井義雄さんの東井義雄「いのちの教え」という本の中から
(ブックコード ISBN4-333-01571-5 C0095)
<転載許可済み>
東井先生は、下村湖人先生の「心の窓をひらく」から、「おかあさんのかんじょうがき」という作文を引用されて、こんなことを書かれていました。
進という少年が、学校へ出かけるとき、前夜書きつけた紙片を二つに折って、お母さんの机の上にそっとおいて、学校へ出かけていきました。紙片には、次のように書いてありました。
かんじようがき | |
一 市場にお使いに行きちん | 十円 |
一 お母さんのあんまちん | 十円 |
一 お庭のはきちん | 十円 |
一 妹を教会につれて行きちん | 十円 |
一 婦人会のときのおるすばんちん | 十円 |
ごうけい | 五十円 |
進 | |
お母さんへ |
進のお母さんは、これをご覧になってニッコリなさいました。そして、その日の夕食のときには、今朝のかんじょう書きと、五十円が、ちゃんと机の上にのっていました。進は大喜びで、お金を貯金箱に入れました。
その翌日です。進がご飯を食べようとすると、テーブルの上に一枚の紙があります。開いてみると、それはお母さんのかんじょう書きでした。
お母さんのかんじょう書き | |
一 高い熱が出てハシカにかかったときの看病代 | ただ |
一 学校の本代、ノート代、エンピツ代 | みんなただ |
一 まいにちのおべんとう代 | ただ |
一 さむい日に着るオーバー代 | ただ |
一 進さんが生まれてから、今日までのおせわ代 | ただ |
ごうけい | ただ |
お母さん | |
進さんへ |
進は、これを見たとき、むねがいっぱいになって、大つぶの涙がもうすこしでこぼれそうになりました。そして、泣きたくなったのをぐっとこらえました。
そして、これからは、どんなにお手伝いしても、お金はいらないと思いました。大すきなお母さんのためには、自分のできることなら、何でもしてあげようと思ったからです。
世界でたった一人の大事なお母さん。こんなばらしいお母さんを与えてくださった神様に、進は心から感謝しました。 -東井 義雄-
苦しみも悲しみも
自分の荷は
自分で背負って
歩かせてもらう
自分の人生だから
もっともっとたくさん紹介したい。だが、それでは本の丸写しになってしまう。
このあふれる仏さまの心の詰まった本に、どうぞ是非出合ってください。
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