スマート・ウォッチに挑戦
「男もすなる日記というものを、女もしてみんとてするなり」とは『土佐日記』の冒頭の文である。
最近、スマート・ウォッチなるものをあちこちで見かけるが、年寄りも、これは便利そうだと、やってみることにした。
大変高価なものであるという先入観があったが、通販のネットを見ていると2000円程度からウン万円まで幅広い値段で紹介されている。 友人の Nさんがしているので尋ねてみたら、
「これはいいよ。ウチの婆様は携帯電話をバッグに入れてマナーモードにしているから、電話をかけても LINE をしても一向に出てくれない。そこでこのスマート・ウォッチを買い与えたら、本人も便利だが、私達家族も便利になった」
と言っていた。
初めての機器のセッティングはなかなか 大変そうだが、
「婆様と同じ品ならセットしたことがあるので、してあげるよ」
と言ってくれた。
Nさんの婆様が使っているスマート・ウォッチは5000円までの値段であった。
同じ買うなら我が家のカミさんの分もゲットしようと実行に移した。
Nさんの場合と一緒で、我が家のカミさんは少々耳が遠い。 急な用があって電話をかけても呼び出しベルが聞こえないから出てもらえない。今のところ命に関わる重要なことはないが、歳を考えるとそんな日がやってくるであろう。スマート・ウォッチをしていてくれたら少しでも対応が早くなるかもしれない。
話はトントン拍子に進んで、通販でスマート・ウォッチをゲットした。 Nさんの所に二人で行って、それぞれスマートフォンとのセッティングをしてもらった。
私のは iPhone 、カミさんのは Android である。 Android の方が簡単にセッティングができてしまった。
喜んだ爺々と婆々の二人は、出会う人ごとに腕をまくるので、私たちの周囲でたちまち3人ほどが、
「私たちも欲しい」
ということになって、私は通販で同じものを購入してあげることに。
世の中次々と便利なものが出てくる。長生きをしていると耳が遠くなったりするのは当然であろう。それを補完する物が出現したら、無理のないところで手に入れることもできる。ちょっとばかり生活が楽になった。
音声入力に挑戦
この文章はマイクを使って入力をしている。一昔前は、音声を文字に変換するには大変な努力がいった。変換効率は50%にも満たないで、誤字がたくさん出てきた。
ところが何の気なしに、音声変換もできるソフトはないかな?とネットを探していたら 、Google の中のサービスでできることが書いてあった。
Google の中の「ドキュメント」というアプリである。ノートパソコンにはマイクが付いているが、デスクトップはマイクが付いていない。しかし、以前、ズームを始めた時に安物のマイクをゲットしていた。 これを使って実験をしてみたら、なんと95%以上。時には100%の確率で文字に変換してくれるではないか。
句読点を入れるのはちょっと工夫がいるが、長い文章は発音の練習にもなって、なかなか使い勝手が良い。
歳をとるとキーボードで正確に打っているつもりが、指が隣のキーを叩いていて、入力からして間違っていることが多くなった。当然「ブラインド・タッチ」などは出来ない年代だ。
パソコンで文字を入力している友人たちに、これは便利だよと喧伝するのであった。 ここでも年寄りのお節介が働いてしまう。
ところが中には、
「私はやっぱりキーボードで打つほうが良い」
という方がいたが、
「そこまでできるのであれば音声入力はもっと便利だぞ」
と勧めた。
Google のセッティングが少々手こずったが、 「ドキュメント」を開いて音声入力をやってみると、その人は偶然なのかどうか100%完璧に変換できたのであった。
その人はそこで気が付いた。
「こんな便利なものがあるんだった」
と。
しかもグーグルのサービスだから、全くの「タダ」なのだ。出来た文章は「クラウド」に瞬時に自動的に保管されるから、「保存忘れ」の恐れは心配ない
昔から 食わず嫌いという言葉ある。自分では一度もやってみないで、ハナからそういうものを避けて行こうというのである。 しかし今の世の中はまさに日進月歩どころか日進週歩のような有様である。便利なものは、使えるものなら使って、浮いた時間は読書をするなり、散歩をするなり、考え事をするなりと、他の所に使って行くことも残された時間を有効に使うことになるのではないか。
黙ってキーボードに向かってプツプツと打つのではなく、頭に思い浮かべたことを声に出して喋って行くということも認知症予防に大いに役に立つのではないかと考える。昔から、「新聞は声を出して読むと良い」と言われていた。
世の中の高齢者よ、チャレンジしてみようではないか。この世でやり残したことをいっぱい抱えて逝くのではなく、
「俺は、私は、やることはやってみた。できたこともあったが、できなかったこともあったけれど、人生は充実していたなあ」
と。そんな時間を送ろうではないか。
ソプラノ・サックスをば
当節、「贅沢な!!」と批判されるかもしれないが、ソプラノサックスを知り合いの楽器店に注文した。
十数年前に、中古販売店の店頭にあったケルントナー(中国製)のをゲットしていた。マウスピースは奮発してセルラーのc☆を。リガチャーはバンドレンを。本体より高かった。それでなんとかやっていたが、どうも何となく使いにくいのである。品質云々もさることながら、友人のK氏が、
「私のを一度吹いて見ませんか」
と、一泊二日で貸していただくことになった。
自分のマウスピースを着けて吹いてみると、音の出が良いのはそれ相応だが、操作が楽なのである。ストラップを着ける「環」の位置が微妙に調整されていること。サイドキーがちょっと斜めに配置されていて、掌にふれない。そんなこんなで、楽器が踊らないのだった。
もちろん、その楽器は触るのも大変な、私にとっては高価なものだったが、「やっぱりなぁ」と感心したのであった。
最近Y社からそれなりの物が発売されたので、毎日毎日思案を続けたのであった。
残りの寿命を考えたら、ランニングコストはどれほどになるか?
コツコツとためたお小遣いをはたいてゲットすべきか?
練習中の曲をモノにするには、今の楽器では無理なところがあるなぁ
などなど。
いざ問い合わせて見ると、人気があって、入荷が夏になるというではないか。それまで生きているかどうか?
が、思ったねぇ。
大工も道具なしでは仕事は出来ない。
と。夏が楽しみだ。
2023.3.15