ガーシュインのサマータイムに取り組む


 昨年夏、 YouTube をサーフィンしていたら、偶然にもガーシュインの『サマータイム」という曲をジャズ風に演奏していた動画に出会った。

  ドラムス・ ピアノ・ウッドベース・ソプラノサックスの四奏だったが、ソプラノサックスの演奏がとても素晴らしかった。プレイヤーが誰であるかは知る由もなかったが、やっと探し当てたのは今年になってから。Olivie Franc (オリヴィエ・フラン)というフランス国籍のサックスプレーヤーであった。ずんぐりむっくりしたオジサン風で、親子二代のサックスプレーヤーという。

 この曲を彼のように吹いてみたくなって、あちこち楽譜を探したが、ジャズの譜面というものは、プレーヤーのアドリブが盛り込まれているから、元々あるのが稀である。最後の手段は「耳コピー」だ。ネットで耳コピーをしてくれるところを探し、この曲の譜面起こしをしてもらった。

 一月ほどして送られてきた譜面を見てびっくりした。想像してはいたものの、16分音符の6連符が連続している。指が着いて行くのすら難しい。

 一息で7小節のややこしいイントロがある。酸素缶を横に置きながら練習することにした。全部で60小節の譜面を一気にやって行くのは私にはとても不可能なので、前半の29小節と後半の31小節の二つに分けて練習することにした。

 長くやっても指は疲れるし、頭は混乱するから、毎日15分だけ練習することに決めた。8月から始めて年末まで4ヶ月、前半の29小節がなんとか譜面に食らいついて行くことができるようになった。と言っても譜面通りにきっちりと演奏できるということではなくて、とにかく音符に指がついて行ったということである。

 曲の色付けは後回し。正月を過ごして今度は後半の31小説に挑戦。時折 YouTube の演奏を聴きながら、「こんなテンポなんだな」と速度を意識しながら後半に挑戦する。

 半音の臨時記号が至る所に出てくるので、頭で判断をしていては遅くなる。とにかくなんとなく指使いを覚えてしまわなければどうしようもない。

 2月が終わって、後半の31小節が音階的に通るようになった。しばらく放っていた前半の29小節をやってみる。4ヶ月も練習したためか、なんとなくついて行けるではないか。

 歳のせいもあって、このややこしい曲に挑戦して行こうとすると緊張も相まって息が切れ、酸素缶のお世話になりっぱなしであったのが、とにもかくにも指がついて行けるようになると、気持ちに余裕ができるのか酸素缶のお世話が少なくなった。

 この分では、今年こそ夏のライブコンサートでこの曲を吹くことが出来そうだ。ガーシュインの『サマータイム』は年寄りの花道にならないように執着して行きたいものだ。

2023.3.4


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