秋も深まってくると、山々の紅葉が夕日に映えて、『紅葉(もみじ)』という唱歌と共に思い出すのは小学校の6年生の時のことである。もう70年も前のことだ。秋には「学芸会」というものがあった。今は「学習発表会」と言われている。隣にあった中学校と一緒に開催されていた。

「学芸会」が終わって後片付けをして下校する頃には日が西に傾き、山々の紅葉を綺麗に映えさせていた。それがとても印象に残っているのは、中学生が発表した「スライド」の中に、山の紅葉が綺麗に投射されていたのと、もう一つは中学生の「劇」であった。ストーリーは憶えていないが『杜子春』が題材であった。饅頭で毒殺されるシーンがあって、美味しそうに「栗饅頭」にかぶりつく生徒のシーンだけが記憶にあるのだ。「栗饅頭」今も昔も高価であったから余程でないと頂くことはなかった。
秋になって、山が色づくと、あの綺麗なスライドの場面と栗饅頭を思い出してしまう。そんなことを思いながらブラブラの村の中を歩いて写真に撮るが、あんな綺麗な紅葉が撮れないのだ。
