トランスミッターを簡便に取り付ける改造
ワイヤレスマイクを朝顔の所にくっつけると便利になると思いついた。途中で楽器を持ち替えたりなど、楽器を離す時に、腰のベルトなどに挟んでいる送信機(トランスミッター)と楽器が、細いケーブルで西郷さんの犬のようにつながっているのは、いささか不便を感じるのであった。
楽器本体にトランスミッターをくっつけてしまえば、ひょいと楽器をスタンドに立てて、楽器から離れることができるのだか、スタンドに立てた時に邪魔にならず、とんでもない改造を楽器に加えずとも良い方法はないかと、ためつすがめつスタンドに立てた楽器をながめていたら、「名案」が浮かんだ。
何事もまずは「イメージトレーニング」をやってみて、「これなら」というところに落ち着いたら改造に要するパーツ集めをすることにした。厚さ1ミリで、片面には両面テープが貼ってあるゴムシート少々。3㎜径のローレットネジが4本。これはドライバー不要で、指でネジが脱着出来るためのものだ。材料はこれだけ。ネジ径は全て3㎜だったが、物によっては違うこともあるから確認しておく。ネジの長さはヤスリで調整する。


作業の手順は
キーガードを外す。一番大きなキーをカバーしている「キーガード」を外す。3本の金色のネジは念のために大事に取っておくのだ。
キーガードには2つの目玉のようなものがあるので、面(ツラ)を合わせるためにゴムシートで段差解消をする。
キーガードにゴムシートを貼って段差をなくさないと、トランスミッターがしっくり座らないのと、ネジ止めの圧力でキーガードが曲がってしまう。必ずゴムシートを貼る。
トランスミッターの装着用バネを取り外す。これは、向きを変えて装着できるようになっているから、ネジ1本で外すことが出来る。外したバネ類は大事に保管しておく。ここへ使うのもローレットネジだが、長さは元のネジの長さにヤスリで削って合わせておく。長いと機器を損壊してしまうから。
装着の準備が完成したので、楽器本体にキーガードをつける。この取り付けもローレットネジを使用するとドライバーを使わなくて良いから、現地でトランスミッターを脱着することが容易に出来る。トランスミッターを付けたままでは、楽器ケースに収まりにくいので、移動中は取りはずせることも大事な要素だ。
欲が出て
補修用のキーガードを楽器店が取り寄せてくれた。「仏具の何かにご利用ですか?」と言われたので、実は・・・とワイヤレストランスミッターを付ける為の・・・と説明した。ローレットネジの具合の良さそうなのを見つけたので注文したら、なんと台湾から送られてきた。クッションになるフェルトのパーツも発送元は台湾であった。なので、注文から届くまでには3週間ほどの時間を要したが、とにかくパーツが揃ったので、やり直しをすることになった。
取り寄せたキーガードには飾りの石を嵌め込めるようになっているので人造ルビーの6㎜径を2個入手して嵌め込んで裏側から接着剤で止める。
円柱状になっているフェルトも、ゴム系接着剤を使って嵌め込んで固定する。適当な長さにカッターナイフで切って本体にくっつけた。穴側に接着剤を少量垂らしてフェルトを突っ込む。
キーガードに付いているフェルトは、キーのフタがガードに直接当たらないためのクッションだと思っていたが、以外に大事な役割を果たしていることがわかった。
Aのキーが押さえられるとBのキーも連動して押さえられる。Bのキーが押さえられると、Cのキーが開くのである。
CのキーはAとBのキーに連動しているのだ。「何んかどうもおかしい。Cのキーが少し開いている」と思って、キーの動きやペダルの動作を丹念に観察してわかったのであった。換装前のキーガードでは異常がないが、新しく調整したキーガードではCのキーが少し開くのであった。
Bは直接的にCに連携している。Bが通常の位置に開いている間隔がCの閉まり具合に関係しているのであった。開きが少ないとCが開いてくる。AとBが開いている時はCは閉じているのだ。
AやBが、ちょうど良い具合に開いてくれないとCがしっかり閉じてくれないのだ。Bの開き止めになるフェルトの長さをカッターナイフで丁寧に切り詰めていく。次にAのフェルトも切り詰めて調整して行く。もちろん本体からガードを外しての作業だ。
ルビーが付いたガードは常用に、そうでない方はトランスミッターにくっつけておくことにした。
注意
たかがクッションのように見えるが、この部分のフェルトが果たす役割は大きい。音質が狂うのではなくて、「ソ」が「#ソ」になってしまう。ほんのわずかの隙間が空いてもだ。
構造が理解出来ていて、なおかつ手先が器用であるならば自分で調整できるであろうが、そうでない方は、この部分はあまりいじくらない方が良い。