丹波の春は、萌えたつような草の緑と、そこはかとなく漂ってくる沈丁花の香り。
私は、沈丁花の香りを嗅ぐと、
♪♪菜の花畑に入り陽うすれ 見渡す山の端 霞ふかし....♪♪
という歌が懐かしく出てきます。
幼き時に、野山で遊んだ過ぎ去りし日を思い起こすのです。
そんな過ぎ去った日に楽しんだ「丹波の春の味」
今も、野山に行けば味わえるものをご紹介しましょう。
でも、生えている場所は誰かの所有地ですから、勝手に採ったらダメですよ。
野蕗
土手や空き地など、草のあるところに、野蕗が生えます。早春に顔を出す野蕗の芽は、蕗の薹と言って、和え物にしたり、少し焼いて、すり鉢でつぶして、ゴマ味噌を少々入れて....。
これが美味いのなんのって!。ご飯にのせて食べてもよし。酒のつまみにも最高
蕗になってしまえば、今度は軸は佃煮に、葉っぱも佃煮に。夏までに何回か採ることが出来るのです。
ツクシ
春の小川は....。そんな小川の土手に、にょっきりの芽を出すのが『つくし』。つくしの頭の胞子の部分が開かないまでに、これを佃煮にします。少々苦い味ですが、これがまた食欲を増進させてくれるのです。美味いぞー!!。お酒のつまみにも...。
軸の節々にあるハカマをむしり取るのが少々面倒ですが、手を入れなくっちゃ美味い物はできないのです。
トリモチ
丹波では、昔は4月3日にお弁当を持って山に登ったものです。一月遅れのお節句ということです。小高い山のテッペンから麓を見ると、一面に菜の花畑の黄色い景色でした。
チューインガムなんて洒落たものはなかったので、山の松の木に寄生している『とりもちの木』の、小さな緑色の実の中身を噛んでいると、チューインガムそのものになるのでした。
子どもの頃は、どこへ行ってもおやつはサバイバルです。現地調達で十分でした。
花山椒
山椒の実の佃煮もおいしい。山椒の葉っぱを吸い物に浮かべたり、ちらし寿司にチョコっと乗せると、何ともいえない香りが食欲をそそるのです。
その中でも王様の味は『花山椒』。一抱えもの量を採って来ても、『花山椒』に煮詰めると、コップ1から2杯分になってしまう。「青菜を男に見せるな」という言葉もありますが、その目減りのすごさと言ったら、これにかなうものはない。
ご飯に乗せて....、熱燗のおつまみに。
ワラビ
陽の当たる山裾に行くと、かわいい拳骨をもたげた「わらび」や「ぜんまい」が生えています。といっても、旬が過ぎてしまうと羽を広げて大きな羊歯になってしまうから、採集の時期は限られているのです。これも佃煮にすると美味い。
どうも丹波の春の山菜は佃煮しかないのか? いや、料理の仕方を知らないだけかもね。
タラの芽
タラの木は別名「嫁たたき」と言って、棘がいっぱいある。これでたたかれたら、体中が傷だらけ血まみれ....。 まあよくも昔の人はこんな物で「嫁いびり」をしたものなのか?。
しかし、この枝から出てくる新芽
こんな純粋培養の美味い物を住職は食っています。何?? 贅沢?? とんでもござんせん。 住職や坊守が、コネコネと野山に行って採集して来るんです。
でもね、家毎に少しずつ味が違うのです。味醂や醤油の量など、味付けが微妙に違って....。
お節介 みそ汁に、ほんの少々ショウガを摺って入れると、とっても美味しいみそ汁が出来ます。美味いぞー!!。
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